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梅の花が咲いた。
うちのアパートの前には小さな公園があって、梅の木が3本立っている。
5年前に越してきた時は、畑でもなく広い荒れ地の隅に梅の木が20本近く一列に並んでいた。
当初、急ぎで物件を探していた時に内見はできなかったのだが、
部屋からも眺められるであろう整然と咲き並ぶ梅の木の風景に魅了されて即決した。
しかし、3度目の春を過ぎた頃、家の前の荒れ地は大型マンションの建設工事が始まり、
梅の木は3本を残し容赦なく切り倒されてしまった。
道路を挟んで、目の前に大型マンションが建つことに嫌な感じは多少あったのだけれど、
何よりも悲しかったのが、この街に暮らしている限りは毎年見ることが出来るだろうと
当然のように思っていた梅の花が咲く風景がなくなってしまったことだった。
今では、残った梅の木がある場所に小さな公園が出来てマンションに住む人達の社交場になっている。
俺も日差しの暖かい昼下がりや夜中にコーヒーと灰皿を持ってベンチに座り
のんびりと時間を過ごす時がある。でも、何かもの寂しさを感じるのだ。
この街も、月日の流れと共に変化し続けている。
ふと、そんなことを感じ思いにふける時、この街に居続ける限りは終止符を打つことが
出来ないのではないだろうかという想いがあることに気づかされる。
今年も、梅の花が春の訪れをひと足先に感じさせてくれる。
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